弊所代表行政書士戸川は政治法務の第一人者です。
手続の代理だけでなく、総合的なコンサルティングを行います。
政治団体の設立から、運営までトータルでコンサルティング
- 政治団体設立
- 政治資金収支報告書作成
- 政務活動費処理
- 議会活動顧問(地方自治法・先例アドバイス)
- 陳情対応(補助金等の行政手続)
- 議会質問コンサルティング
- 政治資金パーティーコンサルティング
- 政治活動マスコミ対応
政治団体は、政治団体の設立届がなされた後でなければ、政治活動のために寄附を受けまたは支出をすることができません。(法第8条)
政治団体とは何か
政治団体を設立しようと考えたとき、まず理解しておくべきことは、政治資金規正法における「政治団体」には複数の種類があり、それぞれに異なる要件と手続きが定められているということです。本ガイドでは、政治団体の種類を整理したうえで、設立時に決定すべき事項と必要書類について、順を追って解説していきます。
政治団体の種類と特徴
1.一般政治団体
最も基本的な政治団体の形態が「一般政治団体」です。特定の政党や議員に属さず、独自の政治理念や目的を持って活動する団体として、比較的自由に設立することができます。市民運動団体や政策研究会など、多様な形態での活動が可能であり、設立のハードルも他の種類と比較して低いという特徴があります。
2.政党支部
政党支部は、既存の政党(政党要件を満たした団体)の下部組織として設置される政治団体です。親政党の方針に従いながら、特定地域での活動を担う組織として機能します。設立にあたっては親政党との関係性を明確にし、支部としての承認を得る必要があります。
3.国会議員関係政治団体
国会議員が代表者を務める、または主宰する政治団体です。議員の政治活動を支援する目的で設立され、政治資金の透明性確保のため、特に厳格な規制と監査義務が課されています。登録政治資金監査人による監査を受ける必要があります。
4.資金管理団体
特定の公職候補者が、その政治活動のために資金管理を行う団体として指定する政治団体です。一人の候補者につき一つだけ指定することができ、候補者個人への政治献金を受け入れる窓口としての役割を果たします。
5.後援団体(寄附税制優遇対象団体)
特定の候補者や政治家を支援する目的で設立される団体で、一定の要件を満たすことで寄附者が税制上の優遇措置を受けられる団体です。被推薦者との関係を明確にし、税制優遇の要件を満たすための体制整備が必要となります。
設立時に決定すべき共通事項
政治団体の種類に関わらず、設立時には以下の基本事項を決定する必要があります。
団体の名称と目的
団体の名称は、その活動内容や理念を表すものとして慎重に決定する必要があります。既存の政治団体と混同されるような名称は避け、団体の独自性が明確になるよう配慮することが重要です。
また、団体の目的については、政治活動の具体的な内容や主要な方針を明文化し、活動の方向性を示す必要があります。これは単なる形式的な記載ではなく、今後の活動の指針となる重要な決定事項です。
活動区域の設定
団体がどの範囲で政治活動を行うのかを明確にする必要があります。国政レベルでの活動を目指すのか、特定の都道府県内での活動に限定するのか、あるいは市区町村単位での活動を想定するのかによって、届出先や報告義務の内容が変わってきます。
活動区域は後から変更することも可能ですが、設立時にある程度の見通しを持って設定することが望ましいでしょう。
主たる事務所の所在地
政治団体の主たる事務所の所在地は、各種届出の管轄を決定する重要な要素です。実際に事務作業を行う場所として機能する必要があり、単なる名目上の住所では不適切とされる場合があります。賃貸物件を事務所とする場合は、政治活動での使用が可能かどうかを事前に確認しておくことも重要です。
役員の選任
政治団体には必ず代表者を置く必要があります。代表者は団体の運営全般に責任を持ち、対外的な窓口としての役割を果たします。また、会計責任者の選任も必須であり、政治資金の管理と報告について責任を負います。
さらに、会計責任者に事故があった場合に備えて、会計責任者の職務代行者も選任する必要がありますが、この職務代行者は会計責任者とは別の人物でなければなりません。これは、会計の透明性と適正な管理を確保するための重要な規定です。
運営規約の策定
団体の運営に関する基本ルールとして、規約、綱領、または党則などを定める必要があります。これらの文書には、団体の目的、組織構成、意思決定の方法、会計処理の原則、役員の選任方法などを明記します。規約は団体運営の根幹となる文書であり、メンバー間でのトラブルを防ぎ、民主的で透明な運営を確保するために不可欠です。
団体種類別の必要書類と手続きの詳細
一般政治団体の設立届出
一般政治団体を設立する場合、まず「政治団体設立届」を作成します。この届出書には、前述の基本事項をすべて記載し、団体の実態を正確に報告する必要があります。届出書と併せて、団体の規約や綱領などの根幹文書を提出します。これらの文書は、団体がどのような理念で、どのような方法で政治活動を行うのかを示す重要な資料となります。
代表者と会計責任者については、本人確認書類の提出が求められます。通常は運転免許証や住民票の写しなどが用いられますが、選挙管理委員会によって要求される書類が異なる場合があるため、事前に確認することが重要です。
政党支部の設立手続き
政党支部として政治団体を設立する場合は、一般政治団体の必要書類に加えて、親政党との関係を証明する書類が必要となります。具体的には、親政党が発行する「支部証明書」を取得し、これを届出書に添付します。また、親政党の規約や政党要件を満たしていることを証明する「政党証明書」なども必要となる場合があります。
支部長の任命については、親政党の手続きに従って行われ、その任命を証明する書類も提出することになります。支部の所在地や活動区域についても、親政党の方針と整合性を取る必要があり、事前の調整が欠かせません。
国会議員関係政治団体の特別な要件
国会議員関係政治団体を設立する場合、一般的な届出書類に加えて「国会議員関係政治団体通知書」の提出が必要です。この通知書には、関係する国会議員の氏名、所属議院(衆議院または参議院)、所属政党などを明記します。
特に重要なのは、政治資金監査に関する要件です。国会議員関係政治団体は、登録政治資金監査人による監査を受ける義務があります。設立時点で監査人を選任し、監査契約を締結しておく必要があり、初年度から「監査報告書」や「監査意見書」の提出が必要です。
資金管理団体の指定手続き
資金管理団体は、まず一般的な政治団体として設立した後、公職の候補者等が「資金管理団体指定届」を提出することで指定されます。この指定届には、候補者本人の情報と、指定する政治団体の情報を記載します。
資金管理団体として指定された後は、その旨を反映した「届出事項変更届」も提出する必要があります。また、運営規約において、資金管理の具体的な仕組みや、候補者との関係性を明確に規定しておくことが求められます。
後援団体の税制優遇要件
寄附税制の優遇対象となる後援団体を設立する場合、被推薦者(支援対象の政治家)からの「被推薦書」が必要となります。この書類により、団体と政治家との正式な推薦関係が証明されます。
さらに、寄附の受入体制について、適切な会計処理と報告体制が整備されていることを示す必要があります。場合によっては、推薦関係を詳細に説明する追加書類の提出が求められることもあります。
設立後の義務と責任
継続的な報告義務
政治団体として正式に届出が完了すると、その時点から政治資金規正法上の各種義務が発生します。最も重要なのは、年次の政治資金収支報告書の提出義務です。
これは、団体の収入と支出の詳細を記録し、定められた期限内に選挙管理委員会に提出するものです。収支がゼロの年であっても、報告書の提出は必要となります。
変更事項の届出
団体の名称、所在地、代表者、会計責任者などに変更があった場合は、速やかに変更届を提出する必要があります。特に会計責任者の変更は、政治資金の管理責任に直結するため、遅滞なく手続きを行うことが重要です。
解散時の手続き
政治団体を解散する場合も、正式な解散届の提出が必要です。また、解散時点での収支報告書も作成し、残余財産がある場合はその処理についても報告する必要があります。
政治資金規正法への対応
当事務所では,政治資金収支報告書の記帳代行・政務活動費の報告書作成を代行いたします。
(1)政治資金を規正する基本的考え方
政治資金の規正については、大きく分けて2つあります。
1.政治資金の収支の公開
政治資金規正法は、議会制民主政治の下における政党その他の政治団体の機能の重要性及び公職の候補者の責務の重要性にかんがみ、政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにするため、
(1)政治団体の届出、
(2)政治団体に係る政治資金の収支の公開、
(3)政治団体及び公職の候補者に係る政治資金の授受の規正、
(4)その他の措置を講ずること
により、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的としています。
政治団体の収入、支出及び資産等を記載した収支報告書の提出を政治団体に義務付け、これを公開することによって政治資金の収支の状況を国民の前に明らかにすること。
2.政治資金の授受の規正等
政治活動に関する寄附について、対象者による制限や、量的、質的制限などを行うこと。
(2)政治資金の収支の公開
政治団体の会計責任者は、毎年12月31日現在で、当該政治団体に係るすべての収入、支出及び資産等の状況を記載した収支報告書を翌年3月末日(1月から3月までの間に総選挙等があった場合は、4月末日)までに、都道府県の選挙管理委員会又は総務大臣に提出しなければなりません。
※国会議員関係政治団体の収支報告書の提出期限は翌年5月末日(1月から5月までの間に総選挙等があった場合は、6月末日)までとされております。
1.公表
政治団体の収支報告書の要旨は、官報又は都道府県の公報により、原則として11月30日までに公表されます。
2.閲覧
政治団体の収支報告書は、総務省又は都道府県選挙管理委員会において、収支報告書の要旨が公表された日から3年間閲覧に供されます。
(3)政治資金の授受の規正等
政治活動に関する寄附については、次のような制限があります。
1.会社等のする寄附の制限
政治団体を除く会社・労働組合等の団体は、政党・政党の支部(1以上の市区町村の区域又は選挙区の区域を単位として設けられる支部に限る。)及び政治資金団体以外の者に対しては、政治活動に関する寄附をしてはいけません。
また、これに違反する寄附をすることを勧誘し又は要求してはいけません。
2.公職の候補者の政治活動に関する寄附の制限
何人も、公職の候補者の政治活動(選挙運動を除く。)に関して金銭及び有価証券による寄附をしてはいけません(ただし、政党がする寄附及び政治団体に対する寄附は認められています。)。
3.寄附の量的制限
寄附の量的制限とは、政治活動に関して一の寄附者が年間に寄附することのできる金額についての制限で、寄附の総額の制限(総枠制限)と同一の受領者に対する寄附額の制限(個別制限)があります。
なお、金銭等以外の財産上の利益についても時価に見積もった金額により制限の対象となること、制限の対象となる政治団体については本部・支部を通じて一体であることに注意が必要です。
総務省のHPより
公職選挙法への対応
公職選挙法専門の特定行政書士が、選挙に向けた活動中のチェックを行います。活動中に生じた疑問について、いつでも御相談いただけます。
- 配布文書の公職選挙法違反テェック
- 活動方法の公職選挙法違反チェック
- 選挙中の会計処理アドバイス
- インターネット上の誹謗中傷対策
- 選挙妨害への対応・嫌がらせ対応
- 選挙中のマスコミ対応
公職選挙法は別名「べからず法」と呼ばれ、様々な点で選挙運動が規制されています。一般的な感覚では「許されるだろう」と思われるようなことでも、公職選挙法違反(選挙違反)になることが多くあります。
例えば、「買収」と聞いて、一般の有権者はどのような犯罪を想像するでしょか。大多数の方は、お金を渡して特定の候補者に投票してくれるように依頼することだと思うはずです。たしかに、このような類型は「投票買収」と呼ばれ、最も悪質な選挙違反の一つです。
しなし、公職選挙法上の「買収」は上記の「投票買収」だけではありません。他にも「運動員買収」という類型があり、実際の選挙ではこちらの違反が多く摘発されています。「運動員買収」とは、読んで字の如く「選挙運動員を買収」することです。
例えば、後援会名簿を見ながら、投票をお願いするために電話かけをして(これを、「電話作戦」と呼びます)もらうことがあります。これは、特定の候補者に「投票をお願いします」と言って電話をかける行為なので、選挙運動に当たります。この報酬として金銭を交付する(交付の約束だけでも)と、「買収」になるのです。一般的には「作業」と考えがちな電話作戦も、投票してもらうために行うものなので「選挙運動」に該当します。
したがって、選挙事務所で後援者の名簿を見ながら電話かけをしてくれた方へ謝礼を渡すと「買収」になるのです。ただで手伝ってもらうのは申し訳ないから御礼を渡しただけなのに、などという言い訳は通用しません。公職選挙法の条文を挙げておきます。
(買収及び利害誘導罪)
公職選挙法 第二百二十一条
次の各号に掲げる行為をした者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
一 当選を得若しくは得しめ又は得しめない目的をもつて選挙人又は選挙運動者に対し金銭、物品その他の財産上の利益若しくは公私の職務の供与、その供与の申込み若しくは約束をし又は供応接待、その申込み若しくは約束をしたとき。
「選挙運動」に対する対価を支払うことが買収になるのであって、「選挙運動」以外の行為(例えば、「単純作業」など)に報酬を支払っても買収にはなりません。
したがって、ある行為が「選挙運動」なのか「単純作業」なのかを慎重に判断しながら選挙事務を行う必要があります。

